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任意整理を弁護士と司法書士に依頼した場合の違い

任意整理は債権者側と交渉をして、借金の負担軽減を認めてもらう方法です。

 

任意整理の交渉は法律の専門知識がないと難しい部分が多いですから、多くの場合は法律の専門家(弁護士または司法書士)に交渉を代行してもらうことになります。

 

その際、弁護士と司法書士ではあつかえる業務範囲が異なりますから、どちらの専門家に依頼するべきかは慎重に判断する必要があります。

 

※最初に結論からいうと、借金1件当たりの金額が140万円を超える場合には弁護士を選択してください。

 

弁護士と司法書士では、具体的には次の3つの点で扱える業務範囲に違いがあります。

 

@任意整理において扱える金額の違い
A依頼可能な内容の違い
B裁判に発展した時の役割の違い

 

以下、順番に説明させていただきます。

任意整理において扱える金額の違い

まず、弁護士と司法書士とでは「任意整理において扱える金額」に違いがあるので注意しておきましょう。

 

具体的には、司法書士は1件当たりの借金の金額が140万円以下の場合のみ、任意整理の交渉を代行することが可能です。

 

なお、弁護士に依頼した場合にはこのような金額による制限はありません。

 

借金1件当たり140万円超の場合は司法書士に依頼できない

例えば、消費者金融のA社から100万円・B社から140万円・C社から145万円の合計3本の借金があるという場合を考えてみましょう。

 

・消費者金融A社:100万円
・消費者金融B社:140万円
・消費者金融C社:145万円
・借金の合計金額:385万円

 

この場合、司法書士に依頼するとA社とB社については問題なく任意整理の交渉を代行してもらえますが、C社については相談できないということになります。

 

借金総額で140万円超の場合は司法書士にも依頼できる

一方で、以下のような「借金トータルでは140万円を超えるけれど、1件あたりは140万円以下の場合」には司法書士に対してもすべて依頼することが可能です。

 

・消費者金融A社:100万円
・消費者金融B社:120万円
・消費者金融C社:130万円
・借金の合計金額:350万円

 

借金の問題はできればスピーディに、1回にまとめて解決できるほうが望ましいですよね(あまりたくさんの人にかかわってほしい問題ではないですし)

 

1件あたりの借金が140万円を超える場合には、司法書士ではなく弁護士に依頼するのが適切といえます。

依頼可能な内容の違い

任意整理については上で見た金額の制限さえクリアしていれば、弁護士、司法書士ともに依頼をすることが可能です。

 

一方で、以下のような相談については司法書士は交渉や和解の代行などをすることができないことになっています(弁護士の独占業務とされています)

 

・自己破産や民事再生の手続き
・簡易裁判所以外での差押えなどの強制執行の手続き
・家庭裁判所での家事事件に関する手続き
・上級裁判所(高等裁判所や最高裁判所)への控訴や上告

 

司法書士は自己破産の裁判所手続きに同席してくれない

借金問題に関して言えば、重要なのは1つ目の「自己破産や民事再生の手続き」です。

 

任意整理だけで借金を解決できる場合には問題ありませんが、もしその後になって借金の完済がどうしても難しくなったような場合には、個人再生や自己破産といった債務整理方法を選択する必要があります。

 

自己破産を選択した場合には、手続きの中で裁判所に出頭を命じられ、あなたが借金を負うことになった経緯や生活の状況についてヒアリングをされることがあります(審尋といいます)

 

司法書士の場合、上で見たように自己破産手続きの代行ができませんから、裁判官による審尋に同席してもらうことができません(あなた1人で審尋を受ける必要があります)

 

なお、自己破産を裁判所に対して申し立てをし、必要な書類を作成してもらうことまでは司法書士でも依頼することが可能です。

裁判に発展した時の役割の違い

あなたがした借金に過払い金などが含まれている場合には、相手が返還に応じない場合には裁判に訴えてでもお金を返してもらわなくてはいけません。

 

しかし、このようなケースでは司法書士の扱える業務範囲がネックになってしまう可能性があるので注意が必要です。

 

すでにみたように、司法書士は簡易裁判所以外での差し押さえなどの強制執行の手続きができないためです。

 

簡易裁判所は比較的少額なトラブルについてのみ扱いますので、高額になる可能性もある過払い金の返還請求では地方裁判所に手続きが移されるケースも少なくありません。

 

そうなると、一緒に手続きを進めてきた司法書士が突然「自分はこの案件には法律上関われないので」と降りてしまう(?)ということも考えられるのです。

 

途中から別の専門家に依頼する…は避けたい

途中まで進めた法律手続きを、途中から別の専門家に引き継いでもらうというのは手続き上非常な困難をともないます。

 

多くの場合、専門家には手続きをスタートしてもらう時点で着手金を支払わなくてはなりませんから、下手をすると着手金の払い損…といった状態になってしまう可能性も考えられます。

 

結論的には、借金1件当たりの金額が140万円を超えるようなケースや、過払い金が発生している可能性がある場合には司法書士ではなく弁護士を選択するのが適切といえます。